しかし、

あたりは一戸建てと畑ばかりで、
自販機が視界に無い。

都内のように、
そこの角を曲がれば
すぐ自販機が出てくるような
ロケーションとは違う。

仕方なく、更に先を急ぐ。

猛暑では無いが、
太陽の容赦ない陽射しは
思いのほかキツく感じる。

身体は、水分を保持しているため
水分をガブガブ取らなくても
炎天下の中でもそこそこ動けるが、

歩き進めていく中、
そろそろ、身体が水分を
要求している感じを受ける。

日陰のない畑だらけの土地に
下校中の小学生達が、
黄色い帽子をかぶりながら
不規則に点在している。

その畑の中の下校中の道に
自販機が一機見えてきた。

「(よし!あそこで水でもいいから買うか…)」

完全に解けたペットボトルのお茶を
小脇に抱えながら自販機の前まできた。

自販機を見ると、
東京では見たことが無い
全品に『売切』の赤ランプが点灯していた。

ひとつも飲み物がない。

自販機は、業者管轄の自販機であれば
業者が必ず補充していくのであろうが、

個人で管理している自販機は
個人が補充するので、
怠け者の個人が、面倒だからなのか?
全部「売切」にしたのであろう!
と勘ぐった。

予想外のイレギュラーに
完全に解けてしまった
身体を冷やす目的で持っていた
お茶の封を切った。

 

 

 

つづく…