ゲージのチャックを開けて
仔猫を取り出すと
片手の掌に収まってしまうくらい
小さくて可愛い。

優しくお腹の前で抱えると、

店長
「この子、鳴かないんです!
鳴けないのかな?獣医は、
特に問題はないようです、
って言っていたんだけど…」

それを聞いた途端、

私「(何だー?そういう事か?)」

と、勘が働いた。

『鳴かないのを診ろ!』
ってことか?と理解できた。

早速、抱えながら、
仔猫の喉を触ってみる。

その時だ!

記憶が蘇った!

 

毎晩、ご飯をあげに行っている野良のコタが
春先に声が出なくなったの時の事を思い出した。

コラムでも、恐らく喧嘩で、
首の怪我をした経過を連載した事があったが、
その時期より、少し後の事だったと思う。

その時は、
声が出せないで、
口パクしているコタの喉を触り、
違和感を覚えたので、

仕方ないから医者に連れて行く事を
考えたが、野良だからゲージには入らないし、
洗濯ネットに絡めて連れて行くのは
恐怖心を与え、その後の世話に
支障が出るかもしれないし…

色々考えながら、
どのようにして
医者に連れて行くか?を
試行錯誤していた。

この時は、
今回の仔猫と同じように
コタの喉を触って
何か?異物ができているような
感触が手にとれたので

喉元を軽く捉えて
意識を集中させた。

コタは、
触ってくれるのが嬉しかったのか?
声の出ない喉を震わせて
グルグルいっているのが分かった。

その後コタは、
2、3日すると声が出るようになり
いつものようにギャーギャー鳴きはじめたのだ。

結局、医者に行くことはなかった。

今回の仔猫も
コタを診た時と同様
軽く喉を捉えて
意識を集中してみる。

そうすると、
手の中で「ゴボッ!」と
音を立ててお腹が動くのを感じた。

小さな身体には
全く似つかわしくない
大きな音であった。

そのまま、喉への導気を続ける。

頃合いをみて終わらせ、
音がしたお腹をみると
ポンポコリン状態であった。

ご飯をたらふく食べているようだ。

ポンポコリンのお腹が
愛くるしい。

 

 

 

 

つづく…