北海道大の人獣共通感染症リサーチセンターは、

野生の動物などから
未知の感染症を見つけて
病原性が無いか?などを調べる。

人に感染する前に対策を取る
「先回り研究」を得意とする。

ここ10年ほどで、
コウモリやげっ歯類動物などから
主なもので20種類以上の
新種のウイルスを発見している実績がある。

どういうことか?というと、

これからとんでもない感染症が世界で流行る可能性があるので、
新しいウイルスをどんどん見つけていって、
新興感染症の原因となりうる微生物を
先回りして研究するしかない、
というのが先回り研究の重要性である。

この先回り研究は、
パンデミック(世界的な大流行)
を防ぐ試みとして世界的に注目されている。

また、外国からの大型客船が寄港する長崎では、
江戸時代から出島という外国との窓口を通して
海外からの感染症の研究が盛んであった。

その流れを組むのが、
長崎大学熱帯医学研究所である。

ここでは、マラリアを引き起こす
マラリア原虫が、赤血球の中で10〜20ほどに分裂して
赤血球の壁を破り出てきて、
それらが他の赤血球に侵入して、
また分裂を繰り返していく様子を
電子顕微鏡で捉えた。

マラリアは、1年間で世界で2億人が感染し、
43万人が死亡している。

日本でも、海外で感染し帰国してから
発症する患者は年間数十人出ている。

この赤血球の壁を破って侵入するメカニズムが解明できれば、
身体内のマラリア原虫の繁殖を抑えることができる可能性があるとして、
研究が進められている。

また、長崎大学熱帯医学研究所では、
マダニの研究もしている。

血を吸ってデカくなるのがマダニ。
マダニが媒介する感染症が、
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)だ。

7年前、長崎大学病院で最初の患者が見つかって以来、
今では(先月)都内でも50代男性の患者が見つかるなど、
これまでに患者は400人を超え、少なくとも66人が死亡している。

SFTSは、ペットに舐められただけで
感染した例も報告されている。

SFTSに感染したら
有効なワクチンや治療法は、
まだ開発されていない。

症状が出た際は、
その症状にあった対処法しかないのが現状で、
これは、自己免疫力が問われることになる。

このマダニは、
これから都市部への拡大が非常に懸念されており、
SFTSの感染の有無を短時間で判定ができる
キットの研究が進められている。

つづく…