先日、所属する空手の大会があった。
数年ぶりに観に行ってみた。

私が現役の頃は、
全国から猛者が集まる大会であったが、
最近は、小粒ばかりで、
小粒が集まったところで
屁のツッパリにもならない。

一撃必倒の武道たる道を極めんとする心意気は
既に、戯言、空想になりつつあると感じてしまう。

これも時代といえば、仕方がないのかも知れない。

そういう意味では、
最近の若者に、安安と「武道」を語って
もらいたくないものである。

世界の総合格闘技MMAで活躍する
伝統空手出身の日本人トップファイターがいるが、
彼は確かに強いが、我々の時代には
あの程度の強さであれば、石を投げれば
2、3人に当たるほどいた。

先日も、交流会があって
警視庁の元キャリアで
現在は、会社を経営し、
格闘技が大好きで、自身も今は
キックボクシングにハマっていると豪語した人と話をした際、
現役の頃の練習内容を少し話したら
ドン引きして、態度が一変した。

当たり前だ。
格闘技をかじっている程度の人間と
武道は同じではない。

第65代横綱貴乃花が、
バラエティー番組に出て
わんぱく相撲の小年2人に
相撲道を指導するシーンがあった。

バラエティ番組だけに
MCをはじめチャラチャラしているキャストに
チャラチャラしている内容なのだが、

部屋を持たない元横綱貴乃花が
手作りの土俵にあがると自然とスイッチが入り、
子供達に相撲を通して真剣に
何かを伝えようとする空気が、
チャラチャラした一同をも神妙な面持ちにさせる。

周りで観ている全ての人を巻き込み、
時間を忘れ、空気を一変させる。
時空を超える瞬間だ。

「回数じゃない内容だ」
「勝ちたい!とか勝てるかなぁ?とか一切思わない」
「身体は後から付いてくる。やるべき事をやればイイ」
「心を鍛えるんだぞ」
「基本だけをしっかりやっていればいくらでも強くなれる」
「人を傷つけるために強くするのではない」
「人を守るために強くなる」
「これが相撲道、武道の精神、日本の伝統」

これを見たとき、やっぱり「本物だ!」と感じた。

歩む「道」は違えど、
同じ空気、同じ感覚になるのが、
「道」たる所以。

つづく…