つづき

 

 

コタは、車が行き来する
道路を横断して
いつも餌場にやってくる。

危険をおかしてでも
いつもの場所にくるのだ。

人間にとっても道路の横断は命がけだが、
それは猫も同じ。

車の運転手は、
人を見ればブレーキをかけてくれるが、
猫はそうはいかない。

しかし、
コタは難なく走り渡る。
左右など確認していない。
(当たり前か!人間じゃあるまいし)
気配で横断しているようにも見える。

遅れをとるまい!と、
私も餌場に向かう。

コタと餌場で合流するが、
何やら「ニャゴニャゴ」鳴いている。

餌の準備をはじめるが
横で「ニャゴニャゴ」鳴いている。

支度が出来たのだが
食べようとしない。

どうしたのだろうか?

また、怪我でもしているのか?
と思って身体中を触って確認するが
怪我はないようだ。

「(お腹空いてないのかなぁ?)」
と、思ったが、ちょっといつもと様子が違う。

餌を鼻先に持っていき
美味しそうなにおいを嗅がすが
プイッ!と横を向く。

そして、また、
「ニャゴニャゴ」言っている。

いつもの時間に来られなかった事で
少々気が引けていた私は、
謝ってみることにした。

「遅くなってごめんねー
長いこと待ってたのに、本当にゴメン。
本当にゴメンね。だからご飯食べよう」

そう言って、もう一度、
用意したご飯を鼻先に持っていくと
また「ニャゴニャゴ」言いながら
身体を擦り付けてくる。

もう一度、
「悪かったよ!ゴメンね。だからご飯食べよう」
と、深々、詫びを入れる。

そうすると、

「(仕方ねーなぁー)」と
言わんばかりの顔をして、
ご飯を食べ始めたのだ。

一丁前に、
機嫌を損ねたつもりのようで、

さっきの
ニャゴニャゴ言ってたのも
まるで、来るのが遅いことに
文句を言っているようにも思えた。

コタの立ち居振る舞いは、まるで、
こちらの話がわかっているかのような
思わず「頭イイねー」と褒めてしまった。

そんな事を
聞いてか?聞かずか?

黙々とご飯に夢中になっている。

その食べっぷりを見て
何だ!腹減ってんじゃん!

 

 

つづく