小学6年生の男の子を持つ
お父さんからの相談です。

内容は…

先日の夜、息子の(小6)
咳が止まらなくなって

お父さん
「以前に、咳が出たら肩甲骨の間を
診るとイイ!と教わりましたが、
先日夜に背中を診たけど、
本人は何とも無い」という。

一応、医者も受信したらしく、
診断は、先日の夜の止まらなくなった咳は、
喘息では無いといわれた…との事。

何ででしょうか?

と、言うのが相談の内容だ。

この男の子、
数年前から喘息と診断された事があって
たまに、突発的に発作が起きる事がある。
そして食物アレルギーも持っている。

この小学6年生の男の子は、
本当に素直に育っているイイ子で、
私から見ても好感が持てる面白い子供なのだ。

中学受験を控えていて
文句ひとつ言わず、
本当によく机に向かっている姿を見かけるのです。

家族内もそれぞれの関係も良好で
平和な家庭であることも考慮する事は、
子供の身体を診る時の鉄則なのです。

どれどれ…背中を触って調べてみると…

男の子は
胸椎4番、5番に違和感を感じるという。
そしてその右側に「硬結」が出ている。
これが、結構大きい。

この硬結の意味するところは、
明らかに、慢性のものでは無く、
急性のものだというのがわかる。

(間違いなく)
「コレですね!ここに出ています」

続いて、
腕を上げさせると左右差がある。

自分では真っ直ぐに寝ているようだが
少し曲がっている事をお父さんと一緒に確認する。

更に、右の肋骨が鈍い事がわかる。

そして、右肩が硬直している。

「咳の他に、耳か?鼻は?おかしくなかった?」
と、訊ねると

その夜は、
「鼻水が凄かった」という

一通り身体の所見が終わり、
前述の家族構成や家族関係のことも考慮して、
子供の気を引く布石を最初に放つのだ…

私「右の肩の硬直が目立ちますね!」

私「その影響からか、右肺にも影響が出ていますから…」

私「勉強のし過ぎですかね!」

と言うと、

そう言われた子供は、
横で見守るお父さんの顔を
嬉しそうに、満面の笑みで
「(お父さん!今の聞いた?勉強のし過ぎみたい!)」
と言わんばかりの熱い視線を送るのです…

すかさず、
お父さんは、
そんな子供の熱い目線をはずし、
横を向いてニヤつきながら

お父さん
「こんなもんじゃまだまだ足らない!」
「この倍は(勉強)してもらわないと…」

と、答えるのです。

その答えに
男の子がまたニヤつく。

何とも微笑ましい、
和む関係が垣間見れるのです。

このやり取りには、
文句ひとつ言わずに頑張って勉強している子供を
側で見守る親も、その子供の頑張りを
キチンと黙認している事が見て取れるやり取りなのです。

身体を診る事をキッカケにして
更に親子の関係が強く構築される例です。

そして、
所見の真相を踏まえて
咳が出た理由を伝えると、

親子共々、真剣に話を聞く準備が整う訳です。

季節柄、
梅雨に入ったとはいえ、
曇り空が続き涼しいくなったので、
夜に咳が出たのでしょう。

喘息の発作では無いが、
咳が続いた事は
何か意味がある筈だから、

経過を見守ることも大事になります。

身体を自動的に調整する機能を
誰しも持ち合わせているため、
経過を見ずに症状を止める事に
固執してしまうと判断を見誤る事になる。

咳=風邪
咳=喘息

という固定観念が、
折角の身体を調整しようという働きに
水を指すことになってしまうのです。

身体を変えるための症状が、
症状を人為的に止める事で、
身体に対しての裏切り行為となってしまい、
次なる火種を抱えてしまう可能性があるのだ。

今回は、急に涼しくなった変化を
呼吸器で調整しようとした結果、
一時的に咳となって出たものと読み解けるのです。

その証拠に、肺と関係が深い
鼻水が大量に出たと言っていました。

人為的に症状を止める事なく、
経過を観ることで、
この子の身体は、
少し丈夫になっていくことが
期待できるのです。

(著書参照)