想像していた肺ガンの身体とは
違うように思えた。

続いて、体操を教える。

肋間を伸ばすリンパ体操だ。

やっているそばから
息苦しそうだ。

でも、息苦しいながらも
しっかり頑張っている。

体操を終えたあとの声が
心なしか力強く聞こえる。

そして、背骨を診る。

今朝、私の背中が痛かった箇所と同じ場所を触ると
違和感を覚えるようで、病状が肺に
負担をかけていることは間違いなさそうな現実が
きちんと背骨には刻まれていた。

続いて、
免疫と関係が深い椎骨を診るが
違和感は無いという。

(→これにも、私は少々拍子抜けして、
免疫を司る箇所なので違和感があっていいはずなのに、
実際は何も感じないようであった)

続いて、
肋骨の動きを診る。

ここで、再び、往年の大スター
松田優作が登場する。

「(何じゃこりゃー!)」

心の中で叫ばずにはいられなかった。

(最近の若い人には、分からない台詞ですよねー笑)

都立駒込病院の主治医が、
説明するために書いた図にあった
左肺の上と下で萎縮している筈なのに
左肺の方が動きが良い。

驚きだ。

次に、お腹を診る。

お腹のある場所を捉えると、
「痛いたいたいたいたいたい」
と、声を漏らし、
「そこ、すごく痛いですー」
と、お腹の圧痛点を感じている。

捉えたまま更に意識を集中し、


「(もしかしたら、この病状ひっくり返るかも)」

と、根拠があるようで全く無い
不思議な感覚が湧いてきた。

静まり返っている部屋には、
酸素を送り出す無機質な
機械音だけが響く。

捉えた急所から自然と手が離れる。

終わりの知らせである。

 

 

 

 

つづく…