こうるさい3代家族が入店してから
周囲の空気が変化しはじめる。

次に、臭覚を刺激してきた。

「(あれっ?)」

中華屋では考えられない臭気が
私の鼻を刺激してくる。

「(あり得ない!)」

こうなってくると
合流した友人の話など
当たり前ながら、
そっちのけ。

鼻を刺激する臭気が気になる。

それは、
凄く心地のイイ
線香の香りだ。

30〜40人は入るではあろう
油をギッタギッタ使って調理する
中華屋独特の臭いには不釣り合いな、
絶対に人工的に演出などできない
線香の香りが鼻をついてくる。

思考回路は一時停止し
感性のアンテナだけが
線香の香りを深追いしていく

妙な安心感と心地良さに包まれる

「(素晴らしい!手厚く供養されている)」

透明感が押し寄せてくるような
無条件に満たされる心情を表現するには
「安堵感」以外の言葉は見つからなかった。

そんな空気感とは裏腹に、
隣の席では、
背の高い背筋が伸びた
爺さんの声が耳を突く!

外食に興奮して
自分の気持ちをコントロールできない
ワンパクな子供達に檄を飛ばす。

爺さん
「食べないなら、ウチに帰って
お腹空いても何も食わせないぞ!」

昭和初期の輩がよく口にするセリフだ!

私の親もこんな台詞をよく吐いていた。

鼻を刺激する柔らかい線香の香りは、
そんな現代では間違いなくパワハラに該当する
爺さんの戯言も大きく包み込んでしまうような
柔らかい空気を感じさせてくれる。

何故か?この家族のお婆ちゃんの存在が気になる。

この席には同席されてはいないが、
手厚く供養されて微笑むお婆ちゃんの存在を
感じずにはいられない。

私「(手厚いねー)」

何故か無条件に微笑んでしまう自分がいる。

 

 

 

 

 

つづく…