つづき

 

「イタッ!」

アクセルを握る右腕に激痛が走った。

何かが飛んできて
ぶつかった訳でもなく、
腕を怪我していた訳でもない。

虚をつかれた
身に覚えのない
突然の右腕の激痛には
思いのほか驚かされた。

激痛は、一瞬ではなく、
その後も続いている。

痛みを例えるなら、
最初の一撃の激痛が過ぎた後は、
線香の火種を押し続けられているような
地味な痛さだ。

「イてなぁーー!」

恐らく、
夏場でも事故に備えて
着ていた上着の袖の中で
何かが起こっているようだった。

「(昆虫の類か?)ハチか?スズメバチか?」

走っている途中に
袖から何かが入る感触も無かったし、
いったい、何だろうか?

バイクは道なりに
そのまま走行していたが、
側道に停めて、
上着が裏返しになるように
袖を掴んで一気に脱いだ。

何か黒い小さなものが
下に落ちていくように
地面へ吸い込まれていった。

「ヤツか?」

蜂よりは小さい感じだし、
落ちていく黒いものに
黄色は見えなかった。

落ちた先を探すが
見当たらない。

見失った?感じだ。

落ちていく途中で
飛んで逃げていく様子も
見受けられなかったが、

落ちたはずの地面には
それらしき物体が
見当たらない。

何だったのだろうか?

 

 

つづく…