つづき

 

防災用コンパクトライトを広角照射に切り替え
気にしている手元を見ると少々出血しているが、
身体には問題なさそうだ。

男性の年齢は、私と
同年代くらいか?少し下か?ってくらいの
いい歳こいたオッサンです。

どうせ助けるなら
若い女性を救助する方が
気分的にも、やる気的にも、
違うのになぁ?と
不謹慎な心境も覗かせながら、

男性
「今、友達に連絡したら
『エンジン切った方がイイよ』と
言われたので、エンジンは切ったんですけど…」


「そうですね〜。引火すると大変ですから
その方がいいでしょうね」

男性「ハイ」

私「とりあえず、(横になっている)車を起こしましょうか?」

男性「起きますかね?」

私「大丈夫でしょう!ちょっと待って下さい」

と、言って、
怪我しないように手袋を取りに車へ戻った。

私「(手袋をして)じゃー起こしましょうか?」

男性「ハイ!」

暗闇の中、おっさん二人が、
横倒しになった車の天井側に陣取り
掛け声に合わせて車を押してみる。

私「せーのっ!」

ミシミシ!バキバキ!

私「せーのっ!」

バキバキ!ミシミシ!

揺らす度、
地味に暗闇に響く、
車がきしむ音が、

「(これ?自分の車だったら嫌だなぁ!)」

と、思ったら、突然、
押す腕に力が入らなくなった。

「(事故当事者が、オッサンじゃなくて
若い女性だったら、片手で持ち上げてやるのになぁ!)」

と、再び不謹慎な感情が湧き起こってきたが、

二人だけでなく
もっと大人数で車を起こす事を考えた。

そんな折、運良く対向車がやってきた。

運転手が窓を開けて
顔を覗かせているのが見えた。

そりゃーそうだよ!
車が眠たくて横になってんだから…

私「すみませーん。車起こすのに手を貸してくれませんか?」

対向車運転手
「大丈夫ですか?イイですよ!」


「暗くて危ないので、ライトとハザードは
つけっぱなしにして下さい
(1人確保!)」

 

 

 

 

つづく…