つづき…

 

加藤「毎日、つまらないんですよ。もっと言うとね、不安なんですよ。もっと言うと、15年間1人でいて、貴女が、今、認めたく無いでしょうけれども、自分を取り巻く世界に対して「敵意」があるんですよ。もちろん、貴女は、「敵意」があるっていうのに気が付いていないですよ。だけど貴女は、心の中が、本当に世界の何処かと結び付きたいんです」

女性「ほぉ」

加藤「今、兎に角、認めてくれたのは、毎日がつまらないという事は認めてくれた訳ですよ」

女性「つまらないというか…これしか方法が無いと思っていますので…」

加藤「だから、生き方として、これしか方法が無い、それが貴女の今の不満なんですよ。何だか分からないけれども万引きをしてしまったという原因は必ずあるんです。だけど、その原因を認めることは絶対にイヤなんです」

女性「ん〜」

加藤「つまり貴女は、絶対に認めたく無いものを、今、持っているんです」

女性「はぁー」

加藤「それが、お金があるのに、パンを万引きしたという事の原因ですよ。スーパーでお金があるけれども、富裕層の御婦人が、もっと言えば、検事とか警察官とかそういう人が万引きすることがあるんですよ。みんな、お金が無い訳ではないん
です。それで、そんな事をしちゃいけないという事は、み・ん・な、分かっているんです。だけど、何だか分からないけれど、やっちゃうんです」

女性「ほぉー」

加藤「こういうのを『無意識の必要性』っていう言い方をするんですけど、その人の無意識にそれをしないではいられないものがあるんです」

女性「ほぉー」

加藤「だから、貴女が万引きして良かったって言ったら怒られるけれども、本当の自分に気が付くのは、万引きしない限り気が付かないですよ」

女性「はい」

加藤「娘との関係は、貴女は、非常に重要な関係です。貴女にとっては」

女性「はい」

加藤「そんなに重要な関係のある人がいるのに、パンを盗るんです」

女性「はい」

加藤「パンを盗る必要性が、貴女の中にあったの。それをさっき言った、「無意識の必要性」って。unconscious necessity(アンコンシャスネセシティ)っていう。人間っていうのは、そういう様に、『無意識の必要性』をみんな自分の中に持っているんです」

女性「ほぉー」

加藤「それで、今、貴女は不安なんですよ。今」

女性「不安ですね」

加藤「不安ですね、今」

女性「はい」

加藤「そこのところを認めてくれれば、これは、もう解決に近づきます。で、今日の相談は娘との関係をどうしたらいいか?っていうのが具体的な相談ですか?」

女性「はい。そうです」

加藤「はい、分かりました。スタジオに弁護士の塩谷崇之先生がいらしているのでお待ち下さい」

 

 

つづく…