加藤「年齢教えて下さい」
女性「74歳」
加藤「結婚されています?」
女性「ハイ!(結婚)していましたが、夫は亡くなりました」
加藤「何年前ですか?」
女性「15年です」
加藤「15年。そうすると、今は一人で暮らしているの?」
女性「そうです」
加藤「分かりました。それでどんな相談ですか?」
女性「1週間少し前にスーパーマーケットで万引きをしました」
加藤「はい、はい」
女性「それで、娘が警察に身柄を引き取りに来てくれたんです」
加藤「はい」
女性「で、今後、娘とどうやって接していけば良いのか?と思いまして」
加藤「スーパーマーケットで、万引きをしたっていうけれども、お金が無くて、
どうしてもその物が欲しくて万引きしたって訳では無くて、
何だか分からないけれども万引きしたって事でしょう?」
女性「そうです」
加藤「寂しかったの?」
女性「イヤ、そういう風には自分では感じていません」
加藤「じゃー、あのー、何か欲求不満があったよね?」
女性「それもねー、何か、あのー、レジに行かないで違う方に行っちゃったって事なんですね」
加藤「何ですか?その持っていった物は?」
女性「パン屋さんですので、パンを…」
加藤「パンを…」
女性「はい。好きなパンがあったので…」
加藤「好きなパンがあったのね…」
女性「はい」
加藤「で、何だかわからないけども、パンを持って行っちゃったんですね?」
女性「はい」
加藤「何だかわからないけれども、持って行っちゃった原因なんですけれどもね…」
女性「はい」
加藤「それを、あなたは、『イヤ、別に寂しい事は無い』と…まぁそうなんでしょう」
女性「はい」
加藤「そして、僕はもうひとつ、『何か?今の生活に欲求不満な事は無いですか?』って聞いたら、『欲求不満な事は無い』と、言うふうですか?」
女性「ハイ。そうですね」
加藤「満足してる?」
女性「ハイ」
加藤「そうすると、自分でも不思議でしょう?」
女性「そうです。だから、私二重人格っていうか、そういう…」
加藤「二重人格っていう言い方の方が、貴女は理解しやすいけれども、別に二重人格では無いですよ!」
女性「そうですか…」
加藤「ふん。74歳で、15年間1人でいて、毎日の生活はどうなっているの?」
女性「仕事は持っていませんので、毎日、時間的に買い物に行きましょうか、っていう、そんな風で…」
加藤「要するに毎日、つまらないでしょう?」
女性「そうですね」
加藤「それが、さっき言った欲求不満っていう事ですよ」
女性「あぁぁ」
つづく…