つづき

 

45年ぶりに会う息子は
話すこともできず
足だけ少し動かしてはいたものの
意思疎通がでるか?できないか?も
分からない状態であった。

病院側は、身内でない人間に
詳しい病状を教えてくれることはなく

手術をした後の状態が
どうなっているのか?
全く、見当もつかなかったという。

病室で45年ぶりに対面してから
「複雑な気持ち」という言葉だけでは
全く足らない難解な心境のまま

そっと寄り添い、耳元で

「〇〇ちゃん(名前)、
ママだけど、分かる?」

と、囁くと

二人の時間が止まったかのように

一瞬の間があき

閉じている目から
一筋の涙がこぼれ落ちたという。

「(分かってくれたんだ!)」と
安心したのも束の間で
話ことができない状態であることが
初めて認識できた瞬間でもあった。

45年ぶりに再開した息子が
病院のベットで横たわっていて
意思疎通が取れないまま
それでも1時間くらい病室にいたという。

そろそろ、
帰ろうかと思っていたら

偶然、病室の入り口に
複数の人影が現れた。

 

 

 

つづく…