一次会が終わり、
日本橋の会場を後にして
二次会の会場に向かう。

東京駅の近くだ。

二次会の会場には
それぞれが時間差で集まり
禁煙席と喫煙席に分かれて二次会開始。

堀こたつのような座敷で
一次会とは座る席が入れ替わり
違う顔ぶれで二次会が始まった。

私は1番奥の席に座り、
左隣にはバスケ部で一緒だったTと
正面には同じバスケ部のOと
その隣にはNが並んで座った。

この時は、
そんなにアルコールが進んでいないのに
左隣のTの所作が気になった。

ちょっと危険な立ち居振る舞いだ。

Tが、私とは反対の左側に座る女子と、
話をしているときに
私は前に座るOとNに

「(コイツ絶対グラスひっくり返すぞ!)」
というジェスチャーを見せた。

五分もしないうちに
ワイングラスになみなみ注いだ白ワインを
見事にひっくり返した。

ズボンはビチャビチャ。
堀コタツの足元もチャプチャプ。

私は、事前に分かっていたので
一滴も濡れませんでした。

暫くすると、
また左隣のTが他の座敷に移動したり
また別の座敷に出向いたり
徘徊をしている立ち居振る舞いを見て

再び、前に座るOとNに
「今度、アイツ(T)財布落とすぞ!」
と言って3人で見ていた。

暫くすると、
隣のテーブルの同級生が大きな声で
「この財布誰のだ?」と言って、
長財布の中身をみんなの前で見はじめた。

「おいっ!T!お前の物じゃないのか?」

その光景を見て、
私はOとNの顔を見合わせ
「ほらね!」

OとNは
驚きながらも笑っている。

人の立ち居振る舞いを見ていれば
何をするのか見当がつく。

去年、川崎の登戸で
スクールバスを待つ子供の列に
暴漢者が襲い掛かる事件があった。

その時、近くにいた
司馬遼太郎が危惧する無感動体質の人間は
暴漢者を見ても何ひとつ
気が付かなかったのかもしれない。

しかし、
普通の人間であれば、
暴漢者の立ち居振る舞いを見て
危険を事前に察知できたはずである。

グラスをひっくりかえす事も
財布を落とす事も
その人の所作を見ていれば
誰でも気がつくのと同じである。

 

 

 

 

この日の極め付けは…

 

 

つづく…