会場である日本橋に向かう。

そもそも
「(田舎者の高校のオレ達が何で日本橋?)」

これは参加した殆どの男陣は
口を揃えて言っていた。

銀座や日本橋界隈に住む
同級生には便利だが
高校は都内のハズレにあるのに…

会場から少し離れた地下鉄最寄駅に着く。
地上に上がると、
懐かしい風景が目に飛び込んできた。

「日本橋」である。

20代前半の頃
この界隈で仕事をしていた。

少々離れた駅で下車したのも
懐かしい思い出に浸る目的もあった。

「(懐かしい)」

降りた駅で
自分の生い立ちを振り返る機会に触れたが
この後の同窓会でも、客観的に自分の生い立ちを
振り返ることになろうとは、
この時点では、まだ気が付いていなかった。

会場に着くと
小さな名札を首から下げている
同級生らしき男連中が塊って座っていた。
顔を見ただけでわかる人間、
全くわからない人間、
有象無象のパラダイス状態。

「(自分も同じように見られているのかな?)」

と考えながら、
先に着いている男連中と
「久しぶりー!」と声を掛けながら
一人一人と握手して席に着く。

塊っている連中とは少し離れたところに
1人で卒業アルバムを見ている男性がいた。
見た感じでは誰だか?分からない。

「(会場に居るってことは同級生だろう)」
と思い、近付き

「今日は、よろしくです」
と手を差し出すと

とても気さくに手を出してくれた。

 

 

つづく…