つづき…

老猫を守るようにして腰を下ろし、
このあと、どうするか?を考えていた。

突然、尻に気配を感じたと思ったら
ビーグル犬が、私の尻に勢いよく
鼻を当てがってきた。

「すみませーん」

尻に当たった、
ビーグル犬の鼻の後を追うように
女性の声がする。

散歩途中の通りすがりの人だ!

女性「どうされたんですか?」

これまでの経緯を話す。

女性
「可哀想に…。
私、最近、
引っ越してきたばかりなんですが、
隣町で猫の保護活動をしていまして、
今、車検に出しているから車がないので、
お父さんに連絡してみます」

偶然にも、初めて通りがかった人が、
地元で猫の保護活動をしている人だったのだ。

私「(ありえない偶然!何なんだ?この偶然?)」

私「(石投げても絶対こんな人に当たらないぞ!)」

数分も経たないうちに
黒い洒落た自転車に乗った、
恐らく、旦那であろう男性が現れた。

旦那と思われる人は、
躊躇無く、立っているのがやっとの様子の猫を抱え上げ
目を丸くした。

旦那「かっるっ!(軽い)」と言い放った。

かなり衰弱しているようだ。

私が勝手に猫の相手をしていたにも関わらず、
誰も通らない状況の中、
たまたま通った人が、
動物に優しい、野良猫に理解のある人で、
獣医にまで連れて行ってくれるという奇跡の流れになった。

女性
「西村と言います。後ほど、状況も兼ねて連絡致します」


「ありがとうございます。宜しくお願いします。
費用は私がお支払いしますので…」

西村さん
「イイエ、大丈夫です。
とりあえず後ほど容態がわかり次第、
ご連絡しますね」

お互い丁寧なやり取りの後、
私は往診の時間もあるため、名刺を手渡し
あとはお任せする形で、丁寧に挨拶をしてから、
その場をあとにした。

往診先で、遅れた理由を話したところ、
快く受け入れてくれた。

往診先の庭に、時々現れる猫が大便をするらしく、
猫をあまり快く思っていない一面もあるのだが、
この時ばかりは、何の抵抗もなく、
笑顔で、本当に、快く受け入れてくれたのだ。

私「(不思議な事に、全てが上手く行き過ぎている)」

と思いながら、身体を診ている最中に電話が鳴る。

見慣れない番号だったので、
西村さんであることは察しがついた。

往診先の方が、気を使ってくれて
電話に出るよう促してくれる。

私「しらさぎ動物病院ですね?わかりました…ありがとうございます」

搬送先の病院だけ確認し、手短に電話を切った。

クライアントを診終えて、足早に病院へ向う。

携帯ナビで調べてみると、
往診先から割と近いことがわかった。

住宅街にある病院の前に車を付けて、
病院に駆け上がろうとしたら、
看板が目にとまった。
今の時間は、診療時間外である事に
気が付いたが、

小島よしおモードにシフトチェンジ!

(そんなの関係ねー!) フッルッ!(古い)

病院に凸入。

 

 

つづく…