つづき

 

カメラマン曰く
「広告の写真は、消えて無くなっちゃうけど、
遺影は、一般の家庭に残っていく。
僕の撮った写真が100年後には絶対にあるんです。
僕は写真家としての1番のやりがい、
1番の幸せだと思っている。
名前は残らない写真家なんですけど
でも僕の撮った写真は、
世の中の写真家の中で1番数が残る
写真家になるかもしれない…」

そんな遺影カメラマンが、
13年間で5000人以上の遺影を撮った中で
印象的な人がいる。

2017年に撮った68歳の女性である。

カメラマンが受けた印象は、
本当に優しい人で、
孫のことが可愛くて仕方がなくて、
旦那も優しくて家族の絆が
本当に強い感じのご家族という印象。

千葉に住むこの女性は
夫と次女の3人暮らしで、
結婚した長女も娘を連れて
よく遊びに来ていました。

料理は、もっぱら、
5歳上のご主人が作ってくれます。

料理を作っている
旦那のわきで、

女性
「退職までは一回も料理なんて
してもらったことがありません」

と、ボヤいている。

続いて

女性
「ゴミ出しも一回もやったことがないと思いますよ」

そして、旦那さんが作った料理を
娘二人と孫の5人で卓を囲む
幸せを絵に描いたようなお婆ちゃん(女性)。

しかし、

この時、お婆ちゃんには、
どうしても遺影を撮っておかなければならない
理由があった。

肺腺癌
ステージ4
手術はもうできない中
抗がん剤を飲む。

ガンが1箇所にあって大きくなるのではなく、
肺の中に散らばっている状態で
血液にのってどんどん全身に行ってしまっている状態。
余名6〜9ヶ月とハッキリ医者に言われたという。

女性「まさか主人よりも先だとは夢にも思わなくて…」

旦那
「晴天の霹靂ですよ。当然、私が先に死ぬと思っているから…
女性は平均寿命は87とか88ですよ。
男は80だけど。あと20年あるでしょ。
冗談じゃねーよって思いますよね」

学童保育のボランティアをしていて
3ヶ月前にがんが見つかったという。

その時に、真っ先にしたことが
先ず遺影を撮ること。

勧めたのは長女だった。

長女が、
「がんは、抗がん剤やら入院が続くと
見た目に変化してしまうイメージがあるから、
(顔が)変わっちゃった後の写真よりも、
いつも会っていた母をなるべく残したかったから」
遺影を撮ることを勧めたという。

 

 

つづく…