左隣に座っていたTが財布を落とした後、
正面に座るOとNと雑談していると
堀こたつに座っているだけなのに、
背中が「ズシーッ!」と重たくなってきた。

肩甲骨の間の左側寄りの少し上が
痛くなってきたのだ。

これは、我々が判断する
呼吸器疾患特有の症状がでる箇所である。

誰かに、
摘まれているような感じだ。

「(誰か?来たな?)」

と、思いながら
OとNと雑談を続けていた。

そうすると、
幹事役の女性が立って、
「もう一時間延長する人は800円徴収します」
と、大きな声で参加者全員にアナウンスした。

私は翌朝が早く予定があったので、
名残惜しかったが、
延長せずに帰ることに。

身支度をして
出入り口へ向かうと
女性幹事が丁寧に挨拶に来てくれて

「本に書いてある事よくわかるー!」

と、少し酔いが回ったような状態で
話しかけてきた。

(彼女は正座最強の本を読んでいたようだ)

女性幹事
「旦那が一回り上なんだけど
いつまでも旦那とゴルフがしたくて…」


「すればイイじゃん!」

幹事女性
「旦那のお母さんも喘息だったんだけど、
旦那も喘息持ってて…」


「(なんだ!さっきの背中はこれか!)」

女性幹事
「私が煙草をやめさせたから今は治ったけど…」


「どっち?旦那?母?」

女性幹事
「旦那!旦那!お母さんは喘息ではない病気で死んじゃって…」


「背中の左側に盛り上がった硬直ない?」

女性幹事
「ある!ある!」


「(自分が感じているのとは違うかな?)旦那は?吸引してたの?」

女性幹事
「タバコやめる前は、毎朝やってた」


「それは、治ってないよ。
抑え込んで出ていないだけだ…」

女性幹事
「一回り上だから身体が心配なんだけど…」


「本人は、全然、身体と向き合う気が無いだろ?」

女性幹事
「そうなのよー」


「じゃーダメだ!見放せ!
医者に切り刻まれる人間も必要だ!」

女性幹事
「本当は、もっと話がしたかったのにー」


「ウソつけ!他で喋るのが忙しかっただけだろ!」

女性幹事
「今度連絡するー」


「ハイハイ(しなくてイイよ)」

 

身体と真剣に向き合っている方は
重々、お分かりかと思いますが、

身体ばかりは、
本人にやる気がなければ無意味で、
事前に対処して備えておくタイプではなく、
典型的な大病をしてから騒ぐタイプであることは
誰もがわかると思います。

この日の見えない客は、
どうやら、
女性幹事の死んだ姑のようでした。

本人にその気が出れば
また縁ができるでしょう…
と、思いながら店をあとにしたのです。

この日の朝に行った
精神統一で感じた事は
おおよそ、間違いでは無かった
と思える楽しい同窓会でした。

 

 

 

 

 

おわり