脳に転移した腫瘍を取り除く手術を
3回受けた和尚は、
言葉も発することができず、
歩くこともできない中、
横浜の結婚式場にいた。

当時、更生するため、
栃木からお寺に預けられていた
ミズキの結婚式で、
一緒にバージンロードを歩くためだ。

当初は、車椅子で入場する予定が、
なんと、立って、ミズキと一緒にバージンロードを
歩ったのだ。

これも医学や科学では証明できない、
一種の火事場のくそ力である。

非行にはしる子供たちに、和尚の
「もう半歩、足を踏み出せよ!」
という言葉に救われ、寺を卒業していったたくさんの子供たち…
その結婚式で、ミズキに支えながら歩けない筈の和尚が、
半歩づつ、半歩づつ、バージンロードを歩いていく…
(本当に感慨深いシーンだ!)

そして、また1人、和尚の手を離れ、
新しい人生の一歩を踏み出すミズキ…

この1年前、和尚がまだ話すことができたとき、
闘病中の病床で、

「私が頑張っているから(逃げない事で)、
(子供たちに)勇気を与えることができるかなと思って…」
と、話していた。

ミズキの結婚式から5ヶ月後、
11年ぶりにタクマがお見舞いに寺に現れ、
治療の術がなくなった和尚は、お寺で療養していた。
タクマとの再会を果たした和尚は、その後危篤となり、
たくさんの卒業生が駆け付け、
別れを惜しんだ後、
桜が散る頃に、
ゆっくりと…息を引き取ったのだ。

偉人が逝った…

和尚から学んだ事は?と、問われ

タクマは、
「和尚のようにできるか分からんけど、
世の中には困っている人がおるから、
先ずは1人助けて、できたら人の役に立ちたい。
和尚みたいに…」

ショウは、
「1番は、居場所を作ってくれた人…
居場所作ってくれて、愛情や怒ったりすることを
教えてくれた人…」

人間や動物の闘病には、全く無駄がありませんね…
その人の周りにいる残されていく人間に
先逝く人は何かを必ず残していってくれます。

和尚の残したもの…
卒業していった子供たち、
また関わった人たちに、
目には見えない大きな物を残されていきました。

その残したものが次に引き継がれ
救われる人が増えていくんですね…

人生は面白いですね!

荒れていた人間が救われ、次は人を救っていく!
これが本当の「救い」なのかもしれません…

この世の歴史に名を残す偉人といわれる人ほど
あの世では平凡以下の凡人が多いのですが…

だが、この和尚は、
あの世では間違いなく偉人でしょうね!

この世で名も知れない、
小さな活動をしている
普通に見える人ほど、
あの世で偉人として扱われるのです。

(何ですか?それ…)

その時が来れば、分かります…

最近、安楽死が取り糺されているが、
この和尚の最期が、より良い最期である答えに思える。

やはり、和尚が残した
「逃げるなー!」に行き着くのであろう。

また、最期の最期まで身体は良くできているものなのです。

(なんですか?それ…)

その時が来れば、わかります…

追伸

散々、他人のバイクを盗んだ、
直結のプロ!ショウは、

お寺を卒業して
大好きな自分のバイクを
3回も盗まれて、
今は、鍵をしっかり付けて
自転車を乗っているそうです…

因果応報が既に始まっているのも
人生、面白いですねー

(普通の人でもバイク3回は盗まれませんからね!)

和尚!
ありがとうございました。

ご冥福をお祈りします。 合掌

つづく…